最近よく聞く言葉「サスティナブル」。日本語に訳すと「持続可能」。
タイカンのお披露目で開催されているイベント「Porsche Now Tokyo」でも「サスティナブル」がテーマとなっている。
フードやファッションといった業界ではサスティナブルという考え方がかなり一般的になりつつあるけど、じゃあ自動車業界は?「サスティナブルなクルマ」って何?という疑問がある。
クルマって排気ガスを出すし、廃車になれば大きなゴミになるし、サスティナブルとは反対の業界にいるのでは?と思っていたが、そんなことはなさそうだ。
ポルシェのクルマ開発から、自動車業界における「サスティナブル」について考えてみた。
サスティナブルとは?
少し前まで「エコ」と言っていたけど、私は「エコ」が発展した表現が「サスティナブル」だと思っている。
「エコ」といえば、二酸化炭素を出さないとかゴミを減らしてリサイクルといった、地球環境を保全するための活動のことを指すという認識だ。
一方、「サスティナブル」とはもっと広義で、様々なモノ・コトに対して言われているような気がする。
地球環境保全はもちろんのこと、全ての人間・動植物が豊かに暮らしていける世界を目指している。
そして、個人や企業といった単位よりも、もっと大きな社会で取り組んでいこうとしているように感じる。
サスティナブルなクルマが目指すところ
次世代カーが目指す「サスティナブルなクルマ」とはどんなクルマか、3つの要素を挙げてみる。
- 排ガス削減:電気自動車
- 材料の改良:レザーフリー
- デジタル化
順番に見ていこう。
① 排ガス削減:電気自動車
排ガスの削減は、自動車業界の最大の課題といってもよいだろう。
ヨーロッパにおける排ガス規制は年々厳しくなっており、2021年にはユーロ7というさらに厳しい規制が待っている。
ユーロ7では「CO2排出量が1kmあたり95gまで」と定められており、燃費に換算して約25km/lを実現しないといけない。これをクリアしないと、メーカーには罰金が課せられるという。
いやいや、ポルシェで燃費25km/lはないでしょう・・・
と思ったが、ポルシェもこれを目指していかないといけないのだ。
そのため、ポルシェは電気自動車EVの開発に力を入れている。
先日発表されたタイカンをはじめ、プラグインハイブリッドモデルがあるカイエンとパナメーラがある。
今後はマカンがEV化されることがほぼ確定的で、その次にはボクスター/ケイマンのEV化の話も聞く。
電気になってもポルシェらしい走りはそのまま。いや、さらに進化していく。
② 材料の改良:レザーフリー
ポルシェの内装といえば、今まではレザーが使われてきた。
パーシャルレザーやフルレザーなどインテリアのパッケージによってレザーの分量に違いはあれど、どこかしらにレザーが使われていた。
しかし、タイカンで初めて一切レザーを使わない内装というのを実現した。
タイカン4Sでは、デフォルトはパーシャルレザーインテリアだが、オプションで「レザーフリーインテリア(+597,000円〜)」を選ぶことができる。
タイカンターボとターボSでは、デフォルトはフルレザーパッケージだが、オプションで「レザーフリーインテリア(+0円)」に変更できる。
レザーフリーインテリアでは、Race-Tex(レーステックス)という高品質なマイクロファイバーが使われる。質感は写真で見た感じではアルカンターラに似ている?
今まではレザーに変更するのに追加でお金を払っていたはず。
今後は、あえてお金を払って「レザーフリー」を選択する時代になっていくのだなぁと感じた。
③ デジタル化
デジタル化もサスティナブルとは関係があると思っている。
デジタル化することが環境保全に直結するとはいえないかもしれないが、デジタル化はプロセスをスムーズにしてくれる。
クルマがデジタル化されると、よりスマートに乗ることができる。
デジタルな事故防止機能が改良されれば、安全性を高めてくれる。
製造過程でのデジタル化が進めば、より効率性・正確性が高く、低コストはプロセスが実現する。
こういったデジタルがもたらす発展が、間接的にサスティナブルな社会につながっていく。
デジタルとサスティナブルは切っても切れない関係で、共に進化していくような関係なのだろうと思っている。
これからは「サスティナブル」が当たり前に
これからは「サスティナブルなクルマ」を目指す時代ではない。
ポルシェはすでにタイカンという車種を完成させた。
これからの時代は、この「サスティナブルなクルマ」をより浸透させ、EVが当たり前の選択になっていくことを目指す段階になると思っている。
EVの航続距離はまだ少し不安もあるし、もっと充電設備のインフラ拡大も必要だし、まだまだ課題は多そうだ。
でも、コロナ禍でリモートワークという働き方が一気に進んだように、きっかけがあれば変化は驚くほど早く起こる。
今後、時代の要求に迫られて、自動車業界の「サスティナビリティ」も加速度的に進んでいくと思っている。