ドイツのポルシェ本社が2020年1月〜6月の世界販売台数データを公表した。
それがこちら。
2019年上半期 | 2020年上半期 | 成長率 | |
全世界 | 133,484 | 116,964 | -12% |
ヨーロッパ | 39,243 | 32,312 | -18% |
ドイツ | 14,186 | 10,702 | -25% |
南北アメリカ | 36,844 | 29,102 | -21% |
アメリカ(US) | 30,257 | 24,186 | -20% |
アジア太平洋・アフリカ・中東 | 57,397 | 55,550 | -3% |
中国 | 42,608 | 39,603 | -7% |
Contents
アジアの販売台数は落ちていない!
全世界での売上は2020年1月〜6月累計で116,964台に登った。
前年同期間比で比べてみると-12%と販売台数を落としている。
2020年は2月頃から全世界に新型コロナウィルスが拡大していき、各国でも非常事態宣言が発令されたりして、もはや「クルマを買うどころじゃない」状況だったので、販売台数が落ちるのは納得。
この表の中で日本が含まれるのはアジア太平洋+アフリカ+中東のエリアだ。
アジア太平洋+アフリカ+中東ってちょっと広すぎる区切り方(笑)
このエリアはたったの-3%と落ち幅が少なく、前年と同程度の販売台数をキープしている。
初めてこのデータを見た時、「おお!!アジア、すごくない!!?」と感激した。
しかし、日本はもっとすごかった。
日本はコロナ禍でも前年を上回る売上を達成
日本に限った販売台数を見ると、2020年1月〜6月の日本だけの販売台数は3,675台と発表された。
昨年同期間の販売台数は3,238台*。なんと前年比13.5%*の成長!!
*販売台数は推定値のため、若干の誤差がある可能性あり。
昨年より1割以上伸びている!?
まじ!?
すごい!!
あれだけ自粛だ節約だというムードの中で売上を伸ばしていたなんて驚いた!
なお、日本国内の全自動車メーカーの販売台数は2020年上半期で1,198,424台、前年比-19.9%と、大きく売上を落としている。
自動車業界で2割も販売数が減少する中、ポルシェは販売数を伸ばすことができたということに。
なお、販売数は「発注数」ではなく「納車数」で数えられている。
販売台数の中には、2019年に発注をし、2020年上半期に納車したクルマもカウントされている。
でもクルマの販売はオーダーメイドだけではない。即納の在庫車の販売もある。
だからこのコロナの期間に本当に売れなかったのなら、前年比プラス成長を叩き出すことは絶対にできないはずだ。
緊急事態宣言下でも売れた在庫車たち
ポルシェセンターでは4~5月にかけて緊急事態宣言下で営業時間の短縮等を行なっていた。
また、ドイツのポルシェ工場も3月下旬から5月上旬まで製造を休止していた。
ポルシェセンターの来客数は明らかに減っていたそうだが、その中でもポルシェを買いに来る方はいて、なんと月間の売上目標は達成できていたという。
911や718はもともと在庫車が少ない車種だが、在庫車は「即納車希望」の方に売り尽くしてしまったらしい。
工場休止の影響で在庫車の製産が遅れていて、結果として今は品薄状態。
あの時期にスポーツカーを買う人がそんなにいたなんて、とにかくびっくり。
ポルシェがコロナ禍でよく売れる3つの理由
では、なぜコロナの厳しい状況下でポルシェがよく売れたのだろうか。
私なりに考えてみたら3つの理由があった。
① 富裕層の収入はコロナの影響を受けない
ポルシェを新車で買う層は、年収が平均以上の層だ。
庶民の私からしたらポルシェのスポーツカーを買う層はみんな「超お金持ち」「ほぼ富裕層」だ。
「超お金持ち」のこの方々は、コロナの影響で収入が減っていない。
もちろん、レジャー業界や旅行業界などに携わっている人は影響を受けているはずだが、富裕層の方はビジネスを複数やっていることが多い。
一方の収入が減っても、ほかにも複数収入があり、結局かなりの収入は確保されている。
ポルシェがよく売れたのは、クルマを買うお金は常にある状態の人がかなりいたのだろうと推測できる。
② クルマは安定した資産になる
コロナの影響で投資業界も激震した。
株価は業種によって大きく上がったり、下がったり。マスク製造会社や薬品会社は注目された一方で、外食産業、旅行業は厳しい状況が今も続いている。
土地やマンションといった不動産の相場も先行き不透明だ。コロナの影響でテレワークが促進されれば、都心のオフィスに近いマンションの価値はどうなる?全国各地で水害も増えている状況で、災害時に人が密集したエリアに住むリスクなども懸念されている。不動産は常に変動する要素を抱えている。
反面、ポルシェをはじめとする高級車は価値が安定している。
そもそもの販売数が少ないせいもあり、どの時代でもある一定層の需要が望める。値落ちしにくく、趣味としても使える。
ポルシェは未曾有の不況にも強いクルマかもしれない。
③ コロナ禍だからこそ売れる
外出の自粛が広く唱えられるようになり、あまり出かけれらなくなった。
でもみんな本当は出かけたい。
緊急事態宣言が解除され、多少は外に出ることが増えたが、まだ感染は落ち着いておらず、飛行機を乗った遠方の旅行には行けない。
そんな中、クルマは感染リスクを低く抑えられる移動手段だ。
電車やバスよりも圧倒的に低リスク。クルマに乗っていれば不特定多数の人と接することはまずない。
行き先も密を避けた場所を選べば感染リスクは限りなく低くなる。
コロナ禍だからこそ、ソーシャルディスタンスを確保できるクルマでの移動が注目された。
旅行に行けず、外食もできない。でも快適にお出かけしたい!
そんな風に考える人が「いいクルマ」を求めてポルシェを買いに来るというのは納得だ。
2020年下半期の販売台数はどうなる?
下半期の販売台数はかなり減ることが予想される。
なぜなら、3月から5月にかけてポルシェの工場が停止していた影響で、クルマの製産が遅れているためだ。
通常6ヶ月から1年以内と言われている新車注文の納期も後ろ倒しにならざるを得ない。
そうすると、本来なら2020年下半期に納車がされたであろうクルマ(2019年末から2020年前半にかけて発注した方のクルマ)の納車が2021年にずれ込むことになる。
また、同じ理由でポルシェジャパンが保持する在庫車の製産も遅れている。
ポルシェは過去10年間販売台数を伸ばし続けてきた唯一のクルマメーカーだが、11年目の記録更新は厳しいかもしれない。
それでも、安定した売上を誇り、この厳しい状況下においても輝きを放つポルシェ。
コロナの中で、改めてポルシェの素晴らしさを実感することができた。